教員紹介コラム

研究の面白さ (石川教授)

石川 顕一教授

放射線応用 /
石川 顕一 教授

論文(a)は、高次高調波発生の飛躍的増大という効果をシミュレーションで予想した論文です。世界的に有名な実験家からも「そんなことがあるはずがない」とホラ吹き扱いを受けました。しかし、4年後、理化学研究所で行われた実験でこの効果は実証されました。それが(b)の論文です。理論やシミュレーションで予想したことが実験で確かめられるときのドキドキ・ワクワク感、新しい仮説を作ること~たとえそれが後に間違いだと分かったとしても~が研究の醍醐味の1つです。(c)の論文の予想も大御所と呼ばれる理論の大家から批判を受けていますが、最近、多国籍の国際共同プロジェクトで行われた自由電子レーザーによる実験で、その内容が確かめられました。それが(d)の論文です。論文(e)の予想はまだ確かめられていません。しかし、これがきっかけで、ウィーン工科大学、インペリアルカレッジロンドン、マックスボルン研究所との国際共同研究が始まりました。光や電子や原子や分子は、どうして、たかが人間の作った方程式に従うのでしょうか。スーパーコンピューターを使っても計算するのが大変なのに、どうして次にどこへ行けばいいのかを知っているのでしょうか。基礎的な現象の研究が、予想もしない形で応用につながるのも研究の面白さです。

【関連論文】
(a) K. Ishikawa, Photoemission and ionization of He+ under simultaneous irradiation of fundamental laser and high-order harmonic pulses, Phys. Rev. Lett. 91, 043002 (2003). 
(b) E. J. Takahashi, T. Kanai, K. L. Ishikawa, Y. Nabekawa, and K. Midorikawa, Dramatic enhancement of high-order harmonic generation, Phys. Rev. Lett. 99, 053904 (2007).
(c) K. L. Ishikawa and K. Ueda, Competition of resonant and nonresonant paths in resonance-enhanced two-photon single ionization of He by an ultrashort extreme-ultraviolet pulse, Phys. Rev. Lett. 108, 033003 (2012)
(d) R. Ma, K. Motomura, K. L. Ishikawa, et al., Photoelectron angular distributions for two-photon ionization of helium by ultrashort extreme ultraviolet free electron laser pulses, J. Phys. B(受理済み)
(e) K. L. Ishikawa and K. Midorikawa, Above-threshold double ionization of helium with attosecond intense soft x-ray pulses, Phys. Rev. A 72, 013407 (2005).

主役は学生!学生も立派な専門家 (酒井教授)

酒井 幹夫教授

モデリング&
シミュレーション /
酒井 幹夫 教授

酒井研究室は2008年度に発足した比較的新しい研究室です。幸運にも優秀な学生が集まり、これまで3名の学生が工学系研究科長賞を受賞しています(工学系研究科長賞は顕著な研究業績をあげた学生に授与される賞)。
また、研究室の修士課程の学生の半分程度が博士課程に進学します。博士課程に進学した学生は、全員、日本学術振興会特別研究員 (DC1)に採用されています。博士課程に進学した学生は、皆さん大変優秀で、既に立派な専門家です。
彼らは民間企業との共同研究にも主体的に取り組んでいます。自分の技術により産業界が抱える問題が解決されることから、日本の技術向上に貢献していることを実感しているようです。
このような優秀な博士課程の学生と何か残るような成果を残したいと思い、共同で書籍を執筆することにしました。
丸善出版から2012年8月に発行された書籍「粉体の数値シミュレーション」は博士課程に所属する2名の学生と執筆しました。このような機会があるのは、指導教員としても大変うれしく、心に残ります。

世界的に有名な
加速器研究施設MALT
(松崎教授)

松崎 浩之教授

放射線応用/
松崎 浩之 教授

加速器質量分析の研究施設としては、アジア地域を代表し、施設の愛称であるMALTといえば、この業界では世界で通用します。国際会議も数多く主催しており、最近では、2011年12月に第4回東アジアAMSシンポジウムを主催し、世界中から研究者が集まりました。2012年9月には、国際質量分析会議(IMSC2012)のAMSセッションの議長を勤めました。
加速器質量分析は、その性質上、様々な研究分野の研究者との共同研究も多く、工学系や地球科学系の研究者だけでなく、歴史学や考古学の研究者との交流も盛んです。

専攻教員の書籍・論文

斉藤 拓巳教授

原子力エネルギー/
斉藤 拓巳 教授

斉藤教授

私自身が修士課程の頃,ぼんやりと考えていた研究の種が,10年後,学生さんとの実験,議論を通して,一夜にして結実した例の一つです.このようなセレンディピティもあれば,少しずつ形作っていくタイプの研究もあります.分からないこと,上手くいかないことを,自身の好奇心と探究心,そして,仲間との協力で解決していく,その過程が研究の醍醐味だと思います。

関連論文:
Saito, T., Sao, H., Ishida, K., Aoyagi, N., Kimura, T., Nagasaki, S. and Tanaka, S.: "Application of Parallel Factor Analysis for Time-Resolved Laser Fluorescence Spectroscopy: Implication for Metal Speciation Study", Environ. Sci. Technol. 44, 5055-5060 (2010).

在学生向けコンテンツ

このコンテンツはパスワードで保護されています。
閲覧するには以下にパスワードを入力してください。

CLOSE