2024年10月10日
【受賞/表彰等】原子力国際専攻 岡本・三輪研究室 周文(ZHOU WEN)さん(D2)
2024年9月13日、原子力国際専攻 岡本・三輪研究室 周文(ZHOU WEN)さん(D2) が日本原子力学会2024年秋の大会において、日本原子力学会2024年秋の大会 学生ポスター セッション 優秀賞を受賞されました。
<受賞した賞の名称と簡単な説明>
私は、「BF-GAN: Generative Adversarial Networksを使用したAI駆動のバブル流画像生成モデルの開発」という研究で、2024年日本原子力学会秋季優秀ポスター賞(AESJ)を受賞しました。この賞は、原子力および関連分野において、研究と技術の進歩に貢献した革新的な成果を表彰するものです。
<受賞された研究・活動について>
BF-GAN: Generative Adversarial Networksを使用したAI駆動のバブル流画像生成モデルの開発
近年、ガス液二相流の画像処理手法は、従来のコンピュータビジョン技術、バブル検出、セグメンテーション、および追跡アルゴリズムを含め、高い効率と精度により大きな発展を遂げています。それにもかかわらず、高品質な二相流画像を大量に取得することは、依然として時間がかかり、コストも高いプロセスです。この課題に対処するために、バブル流生成敵対的ネットワーク(BF-GAN)と呼ばれる生成AIアーキテクチャが開発され、物理的な条件入力、すなわち表面ガス速度(j_g)および液体速度(j_f)を基に、リアルで高品質なバブル流画像を生成できるように設計されています。
まず、異なる条件下で105セットの二相流実験を行い、278,000枚のバブル流画像を物理的なラベルj_gおよびj_fと共に収集し、これを訓練データとして使用しました。次に、GANの生成性能をさらに向上させるために、不一致損失や特徴損失を組み込んだマルチスケール損失関数を開発しました。BF-GANの結果は、すべての生成AI指標において従来のGANを上回ることを示しており、バブル流の分野で初めて定量的なベンチマークを確立しました。画像の対応に関しては、BF-GANと実験画像は良好な一致を示しています。BF-GANで生成されたバブル流画像の主要な物理パラメータ、ボイド率、アスペクト比、Sauter平均径、および界面面積濃度が抽出され、実験画像から得られたものと比較されました。この比較により、BF-GANの二相流パラメータの精度が2.3%から16.6%の範囲内であることが検証されました。この比較分析は、BF-GANが研究範囲内の任意のj_gおよびj_fに対して、物理的特性と一致するリアルで高品質なバブル流画像を生成できることを示しています。
BF-GANは、二相流研究に対して生成AIのソリューションを提供し、高品質なデータを取得するために必要な時間とコストを大幅に削減します。さらに、バブル流検出およびセグメンテーションアルゴリズムのベンチマークデータセットジェネレーターとして機能し、この研究分野全体の生産性を向上させることができます。BF-GANモデルはオンラインで公開されています (https://github.com/zhouzhouwen/BF-GAN)。
<今後の抱負・感想>
まず初めに、私の指導教員である三輪教授、岡本教授、そして劉教授に、研究中に非常に丁寧な指導、サポート、そして励ましをいただいたことに深く感謝申し上げます。この賞は、彼らのご指導なしでは成し得なかったものです。今後は、BF-GANモデルをさらに改良し、さまざまな二相流システムに適用できるようにして、より広範な流体力学研究に貢献したいと考えています。また、このモデルを核安全研究や化学工学プロセスなどの産業シナリオに応用するために、他の研究者との協力も模索しています。この賞を受賞したことは、AI駆動の科学研究の限界をさらに押し広げるよう私を奮い立たせました。この技術が複雑な流体力学の理解をどのように進展させるか、今後が非常に楽しみです。