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- 原子力国際専攻で学ぶということ
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関村 直人 教授
Study01
常に新しい知見が生み出されていき、
より安全にしていくということが、安全の定義になっていく
教授の研究室では原子力のどのような
領域を学ぶことができますか?
専門は原子力の安全です。もともと(原子力の)材料を研究テーマに扱っていたのですが、具体的な形で進めるためには、ものだけよくできればいいわけではなく、どうやって使ったらいいのか、つくるとき、使うときにはどういうことに気をつけるのかが重要になります。また使えなくなるというのはどういう状況なのかを把握することも必要です。アメリカは100年、日本は40年というのが原子力発電所の運転制限基準になっていますが、世界の知識ベースをつくるために、学会の標準化を我々の研究チームでIAEA(国際原子力機関)のプロジェクトとしてやっています。日本では現在原子力発電所を新たにつくる予定はありませんが、海外ではニーズがあるので、今よりも安全なもの提供しなければなりません。また、そういう安全の基準を理解できる人材を現地でも育てなければいけません。そして日本人が海外へ行きうまくコミュニケーションがとれる場を設定することも大事になってきます。そして、つくった側が安全ですよと言っても、それを受け止める人がどう考えるかということ、そのためにはどういうプロセスが必要なのかということが最も重要になります。運転する現地では組織の文化が必要で、常に安全を高めていくという意識がなければなりません。安全というのはレベルを越せばいいというのではなくて、常に新しい知見が生み出されていき、より安全にしていくということが、安全の定義になっていきます。できた時が基準ではなく、どんどん更新されていくものが安全だということが共通認識になってきています。
学びの先にはどんな未来の選択(仕事)がありますか?
短期的に見ると、どういう仕事があるのかがなかなか見えていないので不安になるかもしれませんが、原子力を学ぶのであれば、海外などで原子力発電所をつくるというのは一つの選択肢にあります。場合によっては40年、60年、1世紀に渡って使うためのものだという意識が非常に大切です。今自分がつくろうとしているもののメンテナンスをちゃんとやっていく意味がすごく大きいことを常に理解しておくこと。今よければいいのではなく、長い期間という視点、複雑なシステムや、分からないことがまだまだたくさんあるというのを前提として取り組んでほしいです。継続的に安全性を向上していくためには、今見えていることではないことを想定して取り組むということが、前提になっていると思います。
教授が思う、原子力国際専攻の魅力を教えてください。
工学部の場合は細分化されているので、この専攻ではこれをピンポイントで学ぶという形になっていますが、原子力の分野はさまざまなことができます。機械のことや科学のこと、材料やシステム、計算機、シミュレーションそのものの最先端が学べ、実験も大型装置を使ってできます。また、原子力はすべての事柄に紐付いていきます。安全はもちろん、安全保障や政治学もそうです。具現化しようと思うと、哲学や社会学、医学、薬学、農学、法学などの人とも議論することや連携が必要になってきます。理学部の知識、工学部の設計も必要です。そして、それらをどう使っていくのか、使う人がどう感じるかを想像することも重要です。横に広がりがあって、深さもある。柔軟に何にでも興味が持てる学生は楽しみながら学べると思います。
入学を検討している
学生へメッセージをお願いします。
完全に英語だけで講義をやっているのは18ある工学系のなかで3つだけなので、グローバルに活躍したい人におすすめです。別の考え方や異なる文化で育った人から刺激を受けることで新しい発想が出てくると思います。ここではエクセレンス(卓越性)、ダイバーシティー(多様性)、モビリティー(流動性)の3つのキーワードが学びの軸になってきます。原子力国際専攻は軸となる力を磨ける場所です。素晴らしい先生と議論ができ、海外に出かけていけるチャンスもたくさんあります。講義の仕方もこちらから情報発信するものではなくて、議論の場をつくっていく講義になっているので、一緒に考えながら進めていきましょう。