入学希望の方へ原子力国際専攻で
学ぶということ

上坂 充 教授

Study03

加速器を使った社会産業インフラ診断は、
社会貢献につながる原子力の新しい分野

上坂 充教授

教授の研究室では原子力のどのような
領域を学ぶことができますか?

原子力の中でいう放射線応用の分野を研究しています。その中でも放射線を利用する電子ビーム、イオンビーム、X線、中性子、レーザーといったものを発生させる加速器を買って使うのではなく、つくるところから研究しています。加速器の応用の一つが医療です。がんの診断利用をはじめ、放射線生物でがんになるのはどうしてなのか、どうして低線量被ばくが心配なのか、DNAが放射線でどのように損傷をうけて修復されるのかなどを研究室の半分くらいの学生が研究しています。一方最近非常に注目を浴びているのが、橋の検査への応用です。我が国にある70万橋のうち、建設からほとんどが40年以上経過。かなり古いものは大きな地震が起こると落橋しているのが現状です。橋のレントゲンを撮ると中が見え、劣化具体がわかり修復の参考になります。今までは中を見ないで修復をしていたので、今後は中のレントゲンを撮ってどこが折れているのか、どこを修復するのかを把握し、構造解析をして計算することが可能になりました。また橋を研究室に運ぶことは不可能なので、加速器を運べるよう小型化の開発研究にも取り組んでいます。加速器の研究は、医療応用と社会産業インフラ診断など幅広いところで生かされています。より良い加速器を作るには、実際の用途を理解することやユーザー側の立場にならないとわからないこともたくさんあるので、加速器をつくりながら利用し、研究にフィードバックしています。社会・産業インフラ診断は、社会貢献につながる原子力の新しい分野ですね。

学びの先にはどんな未来の選択(仕事)がありますか?

博士の卒業生は、研究機関の他、メーカーや医療機関などさまざまな進路が選択可能です。具体的には、日立中央研究所や東芝生産技術センター、日本原子力研究開発機構、日立製作所など。また大学で教員として活躍している者もいます。修士の卒業生はメーカー系や、最近ではコンサルティング系が多いです。GEメディカル、住友重機、三菱重業、野村証券、三菱総研、リクルートなど、まさにダイバーシティです。ここでの学びを活かせば、どの分野でも活躍できると思います。

教授が思う、原子力国際専攻の魅力を教えてください。

私の研究室でいうと、学生にはできるだけ海外留学の経験を積むよう推めています。アメリカを中心に、これまで培った他機関との強いパイプを活かし、自分なりの留学プランを立てられる環境が整っています。短期、中期、長期と自分で学びたい期間を選択し、海外でさまざまな考えに触れてほしいです。これまで以上にものづくりはアジアやアフリカを拠点に移していくと考えられます。つくる側のみでなく、マネージメントしていくことに日本人が移行していると思うので、これからの日本を担っていくには、海外での経験は必ず活かされるはずです。また留学生もアメリカ、フランス、ドイツ、アジアはインドネシア、韓国、中国とさまざまな国の学生がいるので、とてもダイバーシティある研究室です。最近その留学生のほとんどが日本で就職をしています。日本で働く場合も、様々な国の人を受け入れて、新しい日本を作っていくことが期待される時代です。原子力国際専攻はグローバルな視点を持ちながら、マネージメントをする能力を磨ける場所です。また、原子力発電の分野では発電所の現場で運転・管理をしている社会人の方の教育にも力を入れています。ステージに合わせて学べる土壌があり、IAEA(国際原子力機関)と協力をしながら世界から人材を集めて原子力マネージャーの育成にも努めています。

入学を検討している
学生へメッセージをお願いします。

日本は国際化が進み、たくさんの外国人が国内で活躍しています。テクノロジーも国際化し、外国人と仕事をする機会が当たり前になっているので会社でも公用語は英語になってくる時代です。その環境に対応できるよう、若い頃に海外へ行ったほうがいいと思います。アメリカの英語、イギリスの英語、アフリカ・アジアの英語はかなりアクセントが違うので、いろんな地域で英語を理解し、英語力を磨いてください。また、本当の国際人というのはしっかりとした日本人であり、だからこそしっかりと外国人とタッグを組んで仕事ができるのだと思います。相手の文化を尊重しながら日本人たる個を磨き、お互いのいいところを組み合わせて、イノベーションできる人材になってもらいたいです。

在学生向けコンテンツ

このコンテンツはパスワードで保護されています。
閲覧するには以下にパスワードを入力してください。

CLOSE