入学希望の方へ原子力国際専攻で
学ぶということ

山口 彰 教授

Study02

こつこつデータをとればいい研究になるという時代ではない。
いかに自分の新しい発想や着想やアイデアを研究に持ち込むかが求められている

山口 彰教授

教授の研究室では原子力のどのような
領域を学ぶことができますか?

主に安全性と設計に関することを研究しています。安全性の中でもリスクを評価し、評価したリスクをどのように使うのか。最終的にものごとを決めていくときに、リスクをどう取り込んでいくかがテーマです。また、最終的に決めたあとに、行動を起こす、そのあとのフォローをどうやっていくか。それを踏まえて次のときにはもっと賢く振る舞えるように、そういう一連のワークをやるリスクマネジメント学・リスク学になります。もちろん、リスクを評価するには、ものごとを知らないといけません。システムや社会の仕組みがどのように動いていくかをシミュレーションし、シナリオを研究することが設計研究や安全研究に繋がります。そういう学術を組み合わせて、いろいろな物理現象や、社会で実際に起きている事柄を観察し、より良い社会をつくるための意思決定に反映していく、そこにリスク学の価値を見出す研究をやっています。社会の仕組や工学システムをどうつくるのかも全て“もの”の設計です。対象とする問題ごとに発揮すべき想像力や必要とする対応能力が違います。先ず、特定の“もの”にフォーカスして、例えば原子力施設の安全性やリスク管理、事故のシミュレーションを考えます。そしてスコープを広げていきます。リスクを上手に活用するにはあらゆる知識や情報を統合することが必要です。様々な視点からいろいろなアプローチを駆使して情報を得ること、そのような能力を持っているかどうかで、リスク評価や決めた行動の良し悪し、成功する確率が決まってきます。単純に確率の計算をしているだけではダメで、シミュレーションを活用して物の理を知り、経験を積み、自ら情報を取りに行くことが重要です。

学びの先にはどんな未来の選択(仕事)がありますか?

ここに来る前は大阪大学で教鞭をとっていました。東京大学は3年目になるので研究室からの卒業生は少ないのですが、シミュレーション技術やリスク評価技術は汎用性のある研究なので、就職先は広くなります。電力会社をはじめ、重工メーカー、国家公務員、コンサルタント、エンジニア、銀行など幅広い分野で活躍できます。

教授が思う、原子力国際専攻の魅力を教えてください。

以前にも増してそうだと思うのですが、これからの世代の人たちというのは、自分で問題を定義して、それに対してどういうことをどのような手段で調べてくればその問題が解決できるのかという、問題をフレーミングする能力、それを解くためにあり溢れているいろんな情報をインテグレートする能力が必要です。原子力国際専攻の英語名には、Managementという言葉が入っているのですが、原子力やエネルギー、マネジメント学など勉強する分野の幅が広いのが特徴です。原子力を専攻する学生が減ってきている環境ですが、ここで原子力を勉強した学生はものの見方やバランス感覚、総合力が育ってきます。いわゆる工学(エンジニアリング)としてのテクノロジーやサイエンスだけでなく、社会科学的考え方、心理学的視点など、知らず知らずのうちにそういう分野の感度が上がってきます。これらはいずれも社会で活躍するために必要な能力です。研究をしながら、能力をインテグレートし、自らの実力を高めていくことができます。

入学を検討している
学生へメッセージをお願いします。

自分の進路は大胆に決めてください。1年間悩んで答えを決めるのと、1週間悩んで答えを決めるのと、どちらの答えが正しいか、これは分かりません。勉強してみれば面白くなってどんどん引き込まれていくものです。ですから、自分の気持ちを大切にして、大胆に進路や物事を決めていくべきだと思います。その代わり、柔軟にいろんなものを吸収しながら、自分の分野を発展させていく。そういうスタイルで生きていくのがしなやかな生き方かなと思いますね。今の学生はきっと70歳ぐらいまで働くことになると思います。そうなると30歳まで勉強したとしても40年間ぐらいは仕事をするわけです。自分の心の声に素直に、方針変更もいとわず、硬直的にならずに進んでいただきたですね。

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