入学希望の方へ原子力国際専攻で
学ぶということ

藤井 康正 教授

Study05

正しく比較するために原子力だけでなく
他の発電所の研究も重要

藤井 康正教授

教授の研究室では原子力のどのような
領域を学ぶことができますか?

原子力発電という技術の社会での位置付けを検討しています。コンピューターのプログラムを使って、本当に役に立つのか、有効性をみる研究です。エネルギーの需給バランスやコスト面などのシナリオを入れ、二酸化炭素の排出量を抑えつつ、総費用が一番安くなるような電源構成はどうすればいいのかを計算したり、人類としてエネルギーシステムをどのように構成すれば温暖化問題にもっとも効果的に対応できるかをシミュレーションしたりしています。今のところ社会的には原子力はやめた方がいいという意見が多い状況になっていますが、我々の計算では原子力は使った方が合理的という結果にはなっています。安定した比較的安価な電源で、二酸化炭素を出さないという点では、原子力は優れています。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーが注目を集めているので、それで100%のエネルギーを賄えるのか、実現するにはどのくらい難しいかなども評価しています。正しく比較するためには原子力だけでなく他の発電所の研究も重要です。私は電気工学科出身なので、電気工学の立場で考えています。原子力を冠する専攻の研究室ですが、再生可能エネルギーの導入可能性については、日本で一番よくわかっている研究室だと思っています。

学びの先にはどんな未来の選択(仕事)がありますか?

エネルギー政策の研究になるので、関連の官庁や公的な研究機関、電力や都市ガスなどのエネルギー事業、コンサルティングなどの民間企業です。就職先は原子力関係に限らないと思います。やっていることは経済計算、確率を用いたリスクを考慮したコスト最小化もやっているので、エネルギー以外だと、銀行などの金融機関、保険、商社などでも活かせると思います。

教授が思う、原子力国際専攻の魅力を教えてください。

総合工学であることだと思います。原子力工学はいろんな分野を勉強しないといけませんが、それはつまりいろいろ勉強できるということ。専攻には電気工学、機械工学、建築学などからきている教員もいるので、いろんな視点から話を聞くことができます。
原子力エネルギーをどうするのか、核エネルギーをどうするのか。これから真剣に考えていかなければいけません。国の政策では原子力の依存度をできるだけ減らすということを掲げています。もしも国として2050年に二酸化炭素を80%減らすことを決定した場合、その時点で火力発電は選択肢から無くなります。そうなる未来を予測しながら、正しい判断をするために必要なデータを導き出すには、総合工学の知識が必要です。これからの日本の方向性を示していく、重要な役割を担うことができる分野です。
私は電気工学科からきて原子力を勉強しているので思うのですが、原子力は奥が深いです。中性子や原子核の反応などもさまざまで、学びきれない。だからこそ面白い分野であると思います。

入学を検討している
学生へメッセージをお願いします。

エネルギー問題に悩んでいる学生におすすめです。本専攻は、人類はこれからどうなるのかを知りたい人は最初に手掛かりを得ることができる場所だと思います。また、原発は人類の将来を左右する重要な技術だと思うので、自分の目で見て、耳で聞いて、頭で考えて判断できる、一番いい場所です。原発は危ないから反対という意見だけを聞いて、何も知らないままでは、何十年後かにこんなはずじゃなかった…ということになるかもしれません。資源枯渇問題は解決しておらず、何かをやらなくてはならない。石油、石炭はすぐには無くならなりませんが、どんどん残りの資源は減っているのは事実です。自分自身で勉強して、原発は使えるか使えないかを判断してもらえればと思います。

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