入学希望の方へ原子力国際専攻で
学ぶということ

長谷川 秀一 教授

Study06

原子炉だけじゃなく、研究を応用して価値あるものをつくり、
新しい情報を引き出せるようになることが目標

長谷川 秀一教授

教授の研究室では原子力のどのような
領域を学ぶことができますか?

原子力のなかの核燃料サイクルという領域になります。ウランの燃料を組み立てて原子炉にいれるところまでと、燃料を原子炉で使ってからその後に再処理をしてまた燃料にするのが核燃料サイクルというのですが、その部分を研究室ではやっています。自然界でウランは核分裂が0.7%ぐらいしかないのですが、原子炉で使用するときには3%以上に濃縮させる必要があります。またウランの燃料には、核分裂するものとしないものの2種類があって、どちらも元素としては同じなんですよ。微妙な違いを分離して濃縮するためには、違いを見極めないといけないので、レーザーを使って分けるという実験を私たちはやっています。原子核の周りを電子が周っているのですが、原子核の大きさが違うと、電子の周る軌道が変わるので、それに対応するようなレーザーを使うことで制御できるのです。ウランの燃料や原子炉に使うとなると何トンというウランが必要になるので、それを電子のちょっとした周り方の違いで区別できるっていうのが、工学的にも面白いと思っています。また、レーザーと物質の相互作用は、原子炉以外の他のところにも転用できないかというのが、今後のテーマの一つです。福島の原発事故で放射性物質がでてきたという問題がありますが、環境に放出されたものを測定するときに使用したり、福島の発電所のなかで燃料が溶けて溜まっている中には何が入っているのかを推測するのにレーザーを使えば遠隔分析も可能になる。原子1個1個を扱えるようになれば、量子力学的な量子情報、量子通信などの応用として出てきているので、そういう先進的なものにも役立てられたらいいなと思っています。

学びの先にはどんな未来の選択(仕事)がありますか?

研究室ではレーザーの実験をやっていますが、ドクターまで学んだとしても、その後もずっとレーザーを使って何かをやる時代ではありません。大学院で勉強したことをそのまま仕事でも活かせることはもちろん幸せだと思います。研究はどういう枠組みをつくって何をやるかを考えるのが一番大変で、それを見つける過程で得た力は、なさまざま分野で活かせます。何の実験をすれば自分がやりたいことを人に説明できるのか、やりましたと言えるのか。科学技術という枠組みのなかで、何かを実現するために、どこから順番にやっていけばいいのかを考えることがトレーニングだと位置付けています。一生研究者という人もいますが、銀行のシンクタンクみたいなところへ就職した卒業生や、IT分野で起業している者、メーカー、研究所など仕事はさまざまですが、違う業界へ行っても、その考え方自体を活かし、社会に役立ててもらえたらなと思います。実験は思うようにいかないことも多いですが、制約があるなかでいかに形にしていくことをやっているので、精神力も養われていくと思います。

教授が思う、原子力国際専攻の魅力を教えてください。

発電でいうところから考えると、エネルギーに関わる分野なのでみんなになくてはならないものを学べるのは面白いところだと思います。原子核の反応を使う基礎的な部分はもちろん、原子核の反応の研究をやるのも原子力工学になるし、原発の様々な問題も原子力の分野の一つ。原子力は広い範囲の分野が関わってきます。いろんな範囲のことが含まれるので、入り口の先に広がりがたくさんあるところだと思います。

入学を検討している
学生へメッセージをお願いします。

原子力となると就職への不安を持つ方も親御さんもいらっしゃるとかもしれませんが、原子核のさまざまな応用から始まって、必ずしもここでの学び=原子力の選択肢ではありません。ここでしか学べない考え方を活かすことで、活躍できる方面はたくさんあると思います。

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